ものがたりの社

日々の日記や不定期の小説を書いたりとそれなりに適当にどうぞ、ゆたしくです。
 
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07
 

飯綱三郎はゆっくりと語り始めた・・・。


「圭一さん、我々は今から約半年前に復活しました。復活直後は皆、現状の世界の把握に精一杯の状態でしたが、そんな中、一人だけ・・・あの方は別でした。我々の中でも一番早く復活していたようで、いろいろこの世界のことを知っており、あの方は我々にこれから行う行動の道しるべを示しました。そして・・その方は”彼ら”のリーダーになるべくしてなった。」

飯綱三郎はさらに語り続けた。

「あの方は、我々に鞍馬天狗様への復讐ではなく、人間が支配しているこの世界を我々の手にしようと言い出し・・・そしてそのお方と八天狗のうちの4人の大天狗を中心に世界侵略計画は動き出しました。」

” ”あの方”・・・ま・・まさか・・?”

須佐が尋ねた。

”・・・はい、察しのとおり・・・”あの方”とは・・八天狗の一人、比良山次郎坊(ひらさんじろうぼう)様です。”

”やはり・・・あいつの仕業か。”

「な・・なんなんだよ・・その・・比良山次郎坊ってやつは・・。」
圭一が須佐に尋ねた。

”比良山次郎坊・・・そいつはかつて比叡山の天狗でな・・当時はおだやかな天狗で、たまに山に迷い込んで困っている人間なども助けたりと・・むしろ、人間たちを好んでいた天狗だったんじゃ・・しかし・・・。”

飯綱三郎が続きを話しはじめる。

”はい・・・後に、山に人間たちの中の強い法力を持った僧侶たちが、天狗退治と称して比叡山から比良山次郎坊様を追い出しました。”

「ど・・・どうして・・。」

”その僧侶たちが村人に天狗は「災厄を招く鬼」であると騙し、村人たちは身の安全を確保するためとして、比良山次郎坊様を比叡山から退治したのです。”

「そ・・そんな・・・誤解じゃないか!!」

圭一は話を聞いているとだんだん、腹が立っている自分に気づいた。

”はい。そうです・・単なる人間たちの誤解だったんです。しかし・・・比良山次郎坊様は傷ついてしまった。今まで、山で姿は見せずとも人間を助けたり・・また人間たちもそんな比良山次郎坊様の助けを知ってか知らずかわかりませんが、比良山次郎坊様を山の神として祭ったりと、まさに共栄共存の関係でした・・・そんな信頼を寄せていた人間たちに裏切られ、挙句、山を追い出されてしまった・・・そんな比良山次郎坊様はついに人間の抹殺を決意し、また、他の天狗たちもほとんどが人間に虐げられていたということもあり、ほとんどの天狗達は一致団結し、”彼ら”は作られました・・・。しかし、そんな比良山次郎坊様たち”彼ら”の人間抹殺計画を潰し、封印したのが鞍馬天狗様だったんです。”

「そ・・・そうだったのか・・。」

そこで須佐の顔が厳しくなった。

”そう・・・そして当時・・その”彼ら”のNo2だった飯綱三郎・・どうしてお前が我らの前に姿を現し、このような話をしにきたんじゃ?”

「えっ・・・?!”彼ら”のNo2・・・!!」

”ああ、こいつは”彼ら”のうちのNo2、飯綱三郎・・・比良山次郎坊の右腕の一人じゃ。”

「・・・・!!」

”はい、須佐の言うとおり・・わたしは比良山次郎坊様の右腕の一人としてお手伝いをしてました・・・しかしそれは前の話です。”

「ど・・どういうことですか?」

”比良山次郎坊様は復活したあとすっかり変わってしまったんです。以前は、人間を抹殺するという言葉の中にもそれはすべての人間ということではなく、自分を山から追い出した一因を作ったあの僧侶たちを殺すのが目的でした。わたしは人間とはうまくやっていた天狗の一人ではありましたが、あの僧侶たちへの復習という点で比良山次郎坊様に賛同していました。しかし・・・復活後、あの方はこの世界自体を自分たちの理想の世界にしようと言い出しました。また、そのために・・・こともあろうにあの方を手助けしている人間どもがいました・・・。そいつらの正体は・・・当時、比良山次郎坊様を山から追い出した張本人の僧侶たちの末裔だったのです。”

”な・・・なんじゃと!!”

「ええっ・・・!?い・・一体どういうことだよ!!」

”飯綱三郎・・・ついにみつけたぞ!!”

すると、俺たちの後ろから声がした。振り向くとそこには3人の男子生徒がいた。

しかし、その3人の目を見ると、白目を向いていて、普通じゃない状態であることが人目でわかった。

”ん?お前なんだ?ただの鴉天狗かぁ〜・・邪魔すんなよな〜、これからこの飯綱三郎のクソを殺すんだからよ・・邪魔したらお前も殺しちゃうぞ〜ヒャハハハ・・・。”

「な・・なんだ、こいつら・・?」

”余と同じ鴉天狗の”伝承者”であるようじゃが・・・様子がおかしい。”

「こ・・こいつらが、お前と同じ鴉天狗だって〜!!全然違いすぎるじゃねーか!!」

”須佐、こいつらはただの鴉天狗ではありません。こいつらは現代の「科学」というものの力で法力を増大させた鴉天狗たちです。”

”法力を増幅・・・じゃと?!”

”はい・・。そして、その「科学」の力をもたらしたのはあの僧侶たちです。今、”彼ら”の多くはその「科学」の力で皆、法力を増大させました。しかし、それと引き換えに天狗としての知性や理性などを失ってしまっていて、ほぼ、あの僧侶たちのあやつり人形化としています。そして・・・同じように、比良山次郎坊様も・・・。”

”な・・・なんじゃと!!”

”わたしは・・そんな比良山次郎坊様を・・・そして我々仲間を救い出すため、”彼ら”から逃げ出してきたんです。”

”そ・・そうじゃったのか・・。”

3人の男たちはケラケラ笑いながら飯綱三郎に向かっていった。

「お・・おい、須佐。飯綱三郎を助けなきゃ・・!」

”当たり前じゃ、いくぞ、圭一!!”

と、俺たちが助けに入ろうとした瞬間だった。


”うわああ!!”

”ぐぎゃああ!!”

”ぐへえええああ!!”


一瞬・・ほんの一瞬で、3人の男たちは吹き飛ばされて、後ろにあった壁に激突した。

”圭一さん・・心配ご無用です。力が増幅したとはいえ、あのような下っ端の鴉天狗などたいしたことありませんので。”

飯綱三郎はいたって涼しげな顔をしていた。

「つ・・強い。この飯綱三郎ってやつ・・。」

圭一はただ見てることしかできなかった。

3人は再び起き上がりだした。

”ヒヒヒ・・・さすがだなぁ〜飯綱三郎。しかし・・これでお前の裏切りは決定した。いずれ、改めて挨拶にうかがう、今度は大天狗様も連れてな・・・覚悟しておけ。ケケケケ・・・!!”

そういうと3人は俺たちの前から姿を消した。


「圭一さーん!!」

後ろで、御神 美姫の声がした。振り向くと御神 美姫と鞍馬天狗が来ていた。

そして、御神 美姫の少し後ろから、椿も遅れて走ってきていた。

「美姫ちゃん・・・あと、椿・・お前まで・・!!」

「圭一さん、ご無事でしたか・・あなた達を探している最中に別の天狗の気も感じたので・・。」

美姫ちゃんは心配した様子だった。

「う・・うん、大丈夫だよ。特に問題はなかったから。」

すると椿は息切れした状態で、

「あ・・当たり前でしょ。あん・・たが、あの子に何するか・・わかったもんじゃ・・ない!!」

「椿・・お前・・・俺をなんだと思ってんだよ。」

圭一は呆れた様子でため息をついた。

”鞍馬天狗様・・・。”

”久しぶりです・・・飯綱三郎。”


鞍馬天狗と飯綱三郎が対峙した。



第2話 「”彼ら”、現る」 その3 完

第2話 「”彼ら”、現る」 その4 へとつづく




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02
 
俺は、二ノ宮 楓に半ば強引に・・・というより、おもいっきり手首を掴まれて引っ張られていた。


「ちょ・・・ちょっと〜!!に・・二ノ宮・・さん!!!お・・おち・・落ち着いてぃえあいあおあおうああ〜〜〜〜!!!」

「あ!す・・すみません!!」

と、誤るといきなり走るのを止めた。



当然・・・


地球に生きている僕らには


皆、平等に「慣性の法則」が働いており・・・


故に


ここも例外ではなく


その法則は働く。



「のわぁぁ〜〜〜〜!!!」


俺はいきおいよく吹っ飛び、正面の壁に激突した。

一樹の気持ちがわかった気がした。


「す・・・すみませ〜ん。だ・・・大丈夫ですか?!」

「た・・・たいしたこと・・ないか・・ら・・。」

”伝承者”じゃなかったら、あぶなかったな・・・オレ。

気がつくと、どうやら着いた場所は体育館と1年生棟の校舎の間にあるちょっとした死角になっている場所だった。

「ご・・・ごめんな・・さい。わたし・・・男性と話したりするの・・あの・・苦手なんで・・。」

「い・・いえ、気にしないでください。それよりも・・・どうして僕を・・?」

「は・・はい、じ・・実は・・・。」

と、彼女が話し始めようとした途端、二ノ宮 楓の頭上に天狗が現れた。


”わたしの名は、大天狗・八天狗の一人・・飯縄山 飯綱三郎(いずなさん いずなのさぶろう)・・お前らが呼称している”彼ら”の一人だ。”


「か・・”彼ら”!?・・・ま・・まさか・・・二ノ宮さんが・・。」

あわてて、須佐が飛び出した。

”飯綱様〜!!”

「ま・・待て、須佐。」

”圭一・・!!何やっとんじゃ!先手必勝じゃぞ!”

「ま・・待てって。あっちは・・その気じゃないみたいじゃないか・・。」

すると、飯綱三郎が話し始めた。

”ありがとう、圭一さん・・・ところで、その鴉天狗は?”

「え?鞍馬天狗の従者の須佐だけど・・・知らないんですか?」

”須佐・・・鞍馬様の従者・・・。”

その時・・須佐が飯綱三郎を睨んだ・・・ように見えた。

”あ・・・ああ・・・須佐か・・おひさしぶりです。”

気のせいか・・大天狗の飯綱三郎と鴉天狗の須佐の会話に一瞬・・・違和感を感じた。

”圭一さん、須佐・・すみません、驚いたでしょう・・。”

「そ・・そりゃあ・・ね。」

「ごめんなさい・・圭一さん。」

二ノ宮 楓が謝る。

「そ・・そんな・・気にしないでよ、二ノ宮さん。」

”そんなあいさつはどうでもいい。それよりも・・飯綱様・・何のつもりですか?”

須佐は、まだ興奮している様子だった。

”お・・落ち着いてください須佐・・。別に戦いをするために来たわけではないですので・・。”

「こら、須佐!お前、ちょっと落ち着け!!・・・大丈夫です飯綱さん、話続けてください。」

”あ・・ありがとうございます圭一さん。実は・・・わたしが圭一さんに接触したのは・・・”



このあと、大天狗・飯綱三郎から語られることになる内容は、驚愕の内容だった。





第2話 「”彼ら”、現る」 その2 完

第2話 「”彼ら”、現る」 その3 へとつづく





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28
 

俺が”伝承者”となってから、早いもので2ヶ月が経とうとしていた。

俺は、あれから毎日、学校へ行く前の早朝と、帰ってきてからの夕方と、御神 美姫と稽古を続けていた。

そして今日もまた朝の稽古が始まっていた。



「圭一さん、そうです・・・その調子で手に気を溜めながら、わたしの攻撃に対処できるようにしてください。」

「よ・・よし。なんとかできそうだ。」

「では、行きます。」

そう言うと、目の前に立っている御神 美姫の頭上に、いくつかのレンガが浮いたかと思うと、そのレンガが俺を襲ってきた。

「てぇあああ!」

すると、圭一は向かってくるいくつものレンガを手に溜めていた気を放ち、ことごとく粉砕していった。

「おみごと!すごいです、圭一さん。」

「で・・できた。」

「すごいです。まさか、こんなに早く上達するなんて・・さすがです。」

すると、鞍馬天狗も出てきて

”いや、すばらしいです。圭一さんはとてもスジがいいですね。”

「そ・・そう?へへ・・。」

調子に乗っている圭一の横で須佐が出てきて、

”ふん。あのなぁ〜おぬしは余の”伝承者”なんじゃ。これくらいできるようになって当然・・むしろ遅いくらいじゃ。”

「うっせーなー。須佐、お前な〜俺とは一心同体なんだから、もう少し俺に気を使えよな。俺はな、褒めて伸びる子なんだから・・。」

”褒めるところがないんじゃしょうがないだろ。そのくらいで調子に乗りおってからに・・。まったく余は恥ずかしいわい。”

「このやろう・・・言いてえこと言いやがって・・。お前はナマイキなんだよ、このチビガラスが〜!」

”チビガラスって言うな〜!”

「こら!須佐ちゃんをいじめるな!」

と、椿が横から俺の頭をはたいた。

”わ〜椿殿〜・・また、圭一がいじめるよ〜。”

須佐が椿の胸に飛び込んでいった。

「大丈夫?須佐ちゃん、アタシがついてるからね。」

「ちくしょう・・須佐のやつ・・。」

椿は、ここで稽古をするようになって、朝も夕方も参加していた・・とは言っても、稽古をするわけでは当然なく、いろいろ身の回りの世話をしてくれていた。

しかし・・・それにしても、最悪なのが、

この稽古を始めてから、なぜか須佐が椿のことを気に入り、本当は俺らよりもはるかに年上のくせに、小さい体を武器に子供のように椿とベタベタし始めていた。

そして椿もそんな須佐をかわいがっていた。

それにしても、須佐のヤツ・・・あんなに椿の胸で甘えやがって〜・・・なんてうらやましいヤツ・・・って、あれ?なんで俺、うらやましがってんだろ?

「圭一さん。」

御神 美姫が俺のところに来て、タオルを渡してくれた。

「お疲れ様です、圭一さん。この2ヶ月間、朝も夕方も大変だったとおもいますが、これで力の制御も気のコントロールも基本は大丈夫かとおもいます。あとは応用ですので。」

「う・・うん、ありがとう美姫ちゃん。」

「圭一さん、一緒に・・・力を合わせて立ち向かいましょうね。」

そう言うと、御神 美姫は俺の手を握り締めた。

「そ・・そうだね・・ハハ。」

「な・・なによ、バカ圭一。あんなに鼻の下伸ばして〜・・。」

”つ・・椿・・殿・・。”

鼻の下を伸ばす圭一の後ろでは、椿の殺気がうごめき、胸で甘えていた須佐は椿の両腕に締められ、瀕死の状態を負っていた。

「さぁさぁ、みんな、そろそろ学校の支度しないと遅れるわよ〜。」

おふくろのかけ声で、俺たちはまたいつものとおり支度をして、学校へ向かった。


教室に着くと、真っ先に一樹が血相を変えて、俺のところに来た。

「おい、圭一!圭一〜!」

「ど・・どうしたの?一樹くん・・・?」

「な・・なんだよ、一樹、朝っぱらから・・・うるせ〜な〜。」

「お前に面会なんだよ・・・。」

「面会?誰が・・?」

「二ノ宮 楓ちゃんだ!」

「二ノ宮 楓?・・はて?」

「はて?・・じゃねーぞ、このヤロウ〜!何なんだよ、ちきしょう〜。最近、お前ばっか良い思いしすぎじゃね〜か〜、こら〜!!しかも・・楓ちゃんって・・俺の楓ちゃんがお前を訪ねてくるってどういうことなんだよ〜〜!!」

(心の声by圭一)俺の楓ちゃんって・・お前なんでもないじゃん。それにしても・・・。

「あの人見知りで有名な彼女が自分から男のところに訪ねるなんて・・お前、それだけでも奇跡だぞ!なんでおまえばっか〜〜!!」

「あ〜うるせ〜!」

俺はつい、力の制御を忘れて一樹をぶん殴った。すると、一樹が教室の端に吹っ飛び、涙目の状態で失神した。

教室のみんなはあっけにとられていた。

「な・・なんだよ・・一樹〜、そんな吹っ飛んで・・お・・大袈裟なヤツ〜・・はは・・。」

(心の声by圭一)す・・すまん、一樹。

「け・い・い・ち くん、どういう・・ことかな?」

俺の後ろで・・・どす黒い殺気に身を包んだ椿が、いつもと違う口調で・・おしとやかに・・しかし、こめかみあたりをピクピクさせながら・・・ああ・・とうてい言葉では言い現せないほどの雰囲気で俺にやさしく問いかけた。、

「お・・俺だって知らねーよ、なにがなんだが・・。」

すると横で御神 美姫がやってきて、

「まぁ、圭一さんって、おモテになるんですね、さすがです。」

と、ニコッと笑顔で、椿の状態に気づいていないツワモノは、そのまま机に向かっていった。

(心の声by圭一)み・・美姫ちゃん、悪気がないだけあって・・・なんとタチが悪い。

「ホント・・おモテになるのね、圭一。どういうことかしら・・ちゃんと説明してちょーだい。」

椿をなんとかなだめようとしたとき、俺は左の袖をクイクイ引っ張られた。

「ん?」

俺は、それに気づき、そして横を向くと、小柄な・・しかし、すこやかな発育をした美少女が、顔を赤らめながら、俺と椿の間に立ち、俺の袖を引っ張っていた。

俺と椿は、ビックリして硬直していた。

「あ・・あの・・はじめまして。わたし・・4組の二ノ宮 楓っていいます。」

「あ・・ど・・どうも、はじめまして・・。」

「い・・いきなり・・す・・すみません。教室に押しかけて・・・。」

「い・・いえ、気にしないで下さい。」

「あ・・あの・・あなたとどうしても話がしたくて・・・その〜・・・」

「は・・はぁ・・。」

(心の声by圭一)お・・思い出した!・・・二ノ宮 楓。そういえば入学式の後、一樹が言ってた・・超人見知りな女の子。特に男性が苦手って言ってたっけ・・・。道理で、今にも泣き出しそうな顔してんだな・・。

「と・・・突然で・・何なんですが・・。」

(心の声by圭一)この子、震えてる・・・。そうか・・緊張して体がこわばってるんだ・・。俺がリードして話を聞いたほうがいいのかな・・・。

「ちょっと一緒に来てください!!」

「・・へ?」

ガシッ!!

そういうと、二ノ宮 楓は俺の袖から、手を掴み直し、ダッシュで教室から飛び出していった。

「ちょ・・う・・うわあ〜すげえ力なんですけど〜〜!」

圭一は半ば強制拉致状態で連れて行かれた。

そんな圭一の声を聞いて、椿は我に返った。

「け・・・圭一〜!!」

すると、いつの間にか、椿の横に御神 美姫が立っていた。

「み・・美姫ちゃん?」

「圭一さんを、追いかけます。」

「え?」

「あれは・・・二ノ宮 楓は・・・どうやら”彼ら”のようです。」

「・・・・!」

そういうと、御神 美姫は圭一の後を追っていった。

「け・・圭一!!」







第2話 「”彼ら”、現る」 その1 完

第2話 「”彼ら”、現る」 その2 へとつづく





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24
 


「さて・・・」



と御神 豪士は神妙な顔になり、

「椿ちゃん・・・今日はこの辺で帰ってもらっていいかな・・。」

と御神 豪士は椿に言った。


すると、横にいた御神 美姫から鞍馬天狗が現れた。


「く・・鞍馬天狗様・・!」


御神 豪士は初めて見る鞍馬天狗に驚いている。

”うむ、圭一の父上殿ですね、はじめまして。この椿という子はもうすでに今回の事態のことを知ってしまっています。なので、このまま話を聞かせても結構です。”

「そ・・そうなのか、椿ちゃん。いや・・その前に鞍馬天狗様や須佐様が椿ちゃんには見えるのかい?」

「う・・うん。」

「そ・・そんなバカな・・。」

椿が見えることに親父はすごく驚いている様子だった。

”うむ、この子が我々の姿を見えるというのにはわたしたちも驚いています。ですが、今はそのことよりも大事なことがあります。”

「・・そうですね。」


しばらくの沈黙の後・・鞍馬天狗が口を開いた。


”今のところ、”彼ら”のほうにも動きはないようですが、そろそろなんらかの接触があってもおかしくありません・・。とりあえずお二人には学校に普通に通っていただきます。たしかに学校には”彼ら”の仲間がいるようではありますが今のところ特定まではできておりません。このあたりは、これからわかってくるでしょう。それよりも・・・。”

そう言うと、鞍馬天狗は俺のほうを見た。

”・・・まず必要なのは圭一さんの力のコントロールが先決です。は力の使い方を教わってもらいます。”

「力の使い方?」

”はい。あなたは今、”伝承者”になったことにより、普通の人間の身体能力の数倍の力が身についている状態です。”

「へ?そうなの?なんか特に変わった感じはしないけど・・。」

”はい。あなたは今、筋力・瞬発力・持久力・・・など、すべての人間の扱う力がパワーアップした状態にいます。なので、その力を自身で制御する必要があります。”

「ん?ということは美姫ちゃんも?」

「はい、一緒です。ただ、わたしはすでに父上から力の制御を教わりましたので、普段の生活もなんとか慣れました。」

「ふーん、そうなんだ。」

”また、あなたは須佐と一心同体ですので、当然、わたしの・・鞍馬天狗の力も使うことができる状態にいます。その力は”気”を扱いますが、これはコントロールが難しいものですのでこれも鍛錬で身につけていただきます。”

「つまり、力のコントロールを身につける練習をしろ・・てこと?」

”はい。平たく言えばそうです。”

「え〜、なんか面倒くさそう。」

すると、椿が横からパンチを入れた。

「コラ、バカ圭一!?アンタ意味わかってんの?ちゃんとコントロールできるようにしないと、自分が困るだけなのよ!そんなんじゃ、あんた、すぐに殺されるわよ!」

椿は、いつもとは違う真剣な瞳で怒鳴った。

「椿・・・。」

「そうだ、椿ちゃんの言うとおり・・力を制御できないとたちまち燃料切れを起こして何もできなくなってしまう・・・それはつまり”死”を意味することになるんだ。」

”はい。ですので、早速、今日からその鍛錬を始めます。これから毎日、学校の後はわたしと稽古してもらいます。”

「わ・・わかったよ。」

「”わかったよ”・・じゃない。”わかりました”でしょ!?」

椿はいつもの調子で横槍を入れた。

「わ・・わかったよ・・わかりましたよ。これでいいんだろ?」

「よし。」

椿は満足気に腕組みをして仁王立ちをした。

”いや〜椿さんがいると助かります、ホントに。もしよかったら稽古も立ち会ってもらえれば・・。”

「わっ・・ば・・ばか!鞍馬・・この・・・。」

「そう?わかった!しかたないな〜・・でも、鞍馬天狗さんの頼みだから・・わたしも稽古に立ち会うわ!」

「ええええ〜!?」

「なにか文句でも?」

俺の声を遮るように、椿が顔を近づけて睨みをきかした。

「い・・いえ。とても・・頼もしいかと存じます・・はひ。」

「うむ、苦しゅうない。」

「椿さんも一緒に稽古参加するんですね?楽しみです。」

と、ツワモノ美姫ちゃんも了承。




というわけで、俺は高校生活始まったばっかりなのに、これから人類を守るべく(?)、稽古をすることとなった。



今、思えば・・・



この稽古があって命拾いしたと思うことになるのだが、無論・・・今の俺には知る由もなかった。






第1話 「御神家」 その10(第1話 最終話) 完

第2話 「”彼ら”、現る」 その1 へとつづく





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24
 
放課後、俺は美姫ちゃんと椿と3人で下校した。

当然、俺もそうだが椿は美姫ちゃんがウチで住むということに大分、ひっかかっているようだった。



「ちょっと・・・どういうこと?」

とは椿。

「お・・俺も今日はじめて聞いたんだよ。親父やおふくろも何も言ってなかったし・・・」

と俺。

「そうですね・・・まー・・昨日の夜・・電話で決まったことなんで・・・急でしたから。あ、でもわたし」

と美姫ちゃん。

”ま〜・・でもわたしは若い子たちの恋愛には寛大ですので・・。”

と空気の読めない・・もしくはワザとのような感もある鞍馬天狗、そして・・

”さすが!鞍馬天狗様。”

と本当になにもわかっていない須佐。



「あ〜〜うるさ〜い!!」

と、キレた椿は俺に右ストレートを炸裂。

「お・・・俺にあたるなよ!しょうがねーじゃねーかよ。」

「どうしてこんな集団下校みたいになってんのよ。これじゃ、ゆっくり二人で話もできないじゃない!」

「話?別に美姫ちゃんや鞍馬天狗や須佐がいてもいいじゃん。・・・むしろみんながいるほうがこれからのこととか相談できるからいいじゃねーか。」

「そ・・そりゃ・・そうだけど・・・そう・・・だけど・・。」

椿はふてくされてブツブツ言っている。

「もー・・・この鈍感ヘタレ男!!」

「え?何?何か言った?」

「うるさい!何でもないわよ、バカ!」

「な・・・なんだよ、意味わかんねーよ。」

鞍馬天狗はそんな圭一と椿を見て、”なるほど”とでも言うように含み笑いをした。


そんなこんなで俺達は、とりあえず何事もなく家に着いた。

「ただいまー。」

「こんにちわー。」

「お邪魔します。」

そうすると奥からおふくろが出てきた。

「あらあら・・3人ともおそろいで・・・ようこそ、さ、上がって。」

俺達はとりあえず居間に移動した。

そこには親父が俺達を待っていた。

「来たか、圭一。おお、椿ちゃんに、美姫ちゃんも。いや〜良いねえ〜華やかで。」

親父はたいそうご機嫌な様子。

「相変わらずね、おじさん。」

「まあな。」

と苦笑いの椿と俺。

「おじさま、お久しぶりです、美姫です。」

と御神 美姫は深々と頭を下げた。

「いやー久しぶり、美姫ちゃん。そんな、かしこまらなくていいんだよ、ラクにしなさい。」

「は・・はい。ありがとうございます。」

美姫はかわいい笑顔で返事をした。

「ところで親父・・どういうことだよ、美姫ちゃんがウチで暮らすなんて・・俺初めて聞いたぞ。」

「そりゃそうだろ。だって昨日お前が寝たあとに連絡したんだからな。連絡するっていったろ?」

「それじゃあ、朝、学校行くときに俺に言えばよかったじゃねーか。何も知らないで学校でイキナリだったからビックリしたじゃねーか。」

「だって、学校行く前に言ったらつまらないだろ?ということで、お父さんからのサプライズなプレゼントでした。」

「ということで、じゃねー!」

と蹴りを一発。

「相変わらずね、おじさん。」

「まあな。」

と唖然としている椿と鼻息な荒い俺。



「と・・とにかくだな、これから美姫ちゃんはウチから通うことになったんでな、ちなみに部屋は圭一の部屋をつかってもらうことにした。お前には部屋を移動してもらう。」

「ちょ・・ちょっと待てよ!そんなの俺は・・。」

「よろこべ、圭一。お前には別荘を用意したぞ。」

「別荘?」

「中庭をご覧ください!」

と親父は中庭を指差した。

そこにはプレハブの建物があった。

「おお!ま・・まさか・・。」

「YES!あれはYOUのマイルームだ!」

「おおおおおお・・親父〜!!」

俺は親父に抱きついた。

「これこそ、一番のサプライズだよ親父。ありがとう!」

「いいんだよMY SUN。フフ・・かわいいやつ。」

そんな圭一を見て椿が一言。

「モノに釣られたわね、圭一。」


見事な父・御神 豪士の作戦だった。







第1話 「御神家」 その9 完

第1話 「御神家」 その10最終話 へとつづく





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