ものがたりの社
15
「はぁ・・・。」
御神 美姫が去ったあとも、俺はまだ屋上に残り、鞍馬天狗の言っていたことをもう一度、思い返していた。
「天狗たちによる地球侵略」
「人間たちの奴隷化」
「その計画のため、すでに人間になりすまし、社会に侵入」
「その人間になりすました天狗がすでにこの町・・いや、この学校にすでに存在しているという事実」
落ち着いて改めて考えると、俺はとんでもないことに巻き込まれていると実感した。
たしかにウチの家系が神社だったのはわかるけど、ウチ自体は直接関わっていないものと思っていた。それよりもなによりも親父は寺の住職などではなく普通のサラリーマンだし、家だって普通の一軒家だし、おふくろだって普通の主婦だ。俺だって、普通の一般男子高校生だし、特別、運動神経も良いわけでもなく、もちろん特殊な能力ももちあわせていない・・・なのに・・・そんな、俺がどうして・・・。
”しょうがないだろ・・・今さら。何言ってんだ、情けないヤツじゃ、まったく。”
俺の目の前に、須佐が現れた。
「な・・・なんだと〜。」
”おぬしは余の”伝承者”・・・。おぬしはそういう運命の元に生まれた。”
「運命・・・。」
”ああ、元々”伝承者”になる奴が誰なのかは、余や鞍馬天狗様にもわからない。なんとか今回”伝承者”が誰なのか、ある程度の当たりをつけることができたのも、その”伝承者”の16歳の誕生日の近くになってやっとだ。それで鞍馬天狗様から御神本家にお告げをした。”
須佐はいつもと違った雰囲気で、さらに話を続けた。
”御神 美姫のほうは、元々、本家の当主の娘でもあったから、誕生日までの3ヶ月の間、父親が彼女に今のような話をし、そして彼女は覚悟を決めたんだろう。”
「でも・・そんな得たいの知れないヤツラと戦わせるなんて・・いくら当主の娘でも・・。」
”ひどい・・・と思うか?じゃあ、おぬしなら断れるか?”
「・・・・!」
””伝承者”に変わりは存在しない。おぬしたち以外には誰も”彼ら”を止めることはできぬ。そんな状況下で、断れるとおもうか?”
「で・・・でもお前ら強引で勝手すぎやしねーか。いくらなんでも・・。」
”わかっておるわ、そんなこと。しかし、我らの寿命はおよそ300年・・・いつ復活するかわからない”彼ら”を追うにはどうしてもこのような”伝承者”のカタチでしか追うことができなかった。”
”しかし・・・だからといってその”伝承者”のカタチをとらなければ、今、この現代で”彼ら”が復活し、結局は人間は支配されるだろう・・。もしくは、おぬしと御神 美姫・・・”伝承者”が戦わぬとしても、その結果は一緒じゃ。”
圭一はなにも言えなかった。
”余らは、おぬしらの意思を強制的に動かすことはできぬ。あくまで身体を借りているだけだからな。できるとすれば、せいぜい、このように会話するくらいじゃ。”
「なるほど、それで俺達を言いくるめるってわけか。」
”・・・おぬし以外とひねくれ者じゃな。”
「いきなり”人類を救え”って言われて”はい、わかりました”なんてそんな思えるかよ。俺だって・・・時間が欲しかったさ。」
”まぁ〜たしかに、おぬしの両親が何も話さなかったのも原因ではあるが・・それはお前のためだとおもうがな。”
「俺の・・・?」
”考えてもみろ・・今まで普通の生活をしていた息子にこのことを事前に告げて、その時が来るまで、悩ませたり、おびえさせたりさせるとおもうか・・?”
「・・・・!」
”この運命は変えられない・・・そのことをお前の両親はわかっておった。だから、このことは直前までおぬしに告げずに、その時までは、少しでも普通の生活をさせてあげようと思っていたんじゃよ。”
俺は・・・何も言えなかった。
”我々も人間たちを巻き込みたくはない・・・だが、現実はそうはいかない。であれば、我らと”伝承者”であるおぬしたちと共に”彼ら”の地球侵略を阻止する道しか人類の生き残る道はない。”
「でも・・こんな俺にできるのか?」
”「できるのか?」・・ではない。「やる」という強い意志を持つんじゃ!その意志が強ければ強いほど、お前は余の力・・鞍馬天狗様の力を最大限まで発揮することができる。強い意志を持て。愛する者たちをおまえたちとわたしたちで守るんじゃ!”
「須佐・・・。」
俺は須佐に、自分の今おかれている立場と、自分の使命を改めて再認識させられ、胸が熱くなった・・。
”なぁ・・圭一よ。”
「な・・なんだよ。」
”今の余・・かっこ良くなかったか?”
「はあ?」
”今のセリフじゃよ。いや〜我ながら心に響いたわい。おぬしも胸が熱くなったじゃろ?”
圭一は、胸が熱くなった自分を呪った。
「・・・けんな。」
”ん?なんじゃ?聞こえん。”
須佐は圭一の口元に耳を傾けた。
「ふざけんな!!誰が熱くなるか!!」
須佐は、耳元で怒鳴られて目をクルクル回している。
そんなやりとりをしていた俺たちは気づいていなかった。
後ろに”あいつ”がいたことを・・・。
「け・・・圭一?」
俺はハッ!として後ろを振り向いた・・。
そこにいたのは・・・驚いた表情で、顔を青くさせた・・・椿だった。
第1話 「御神家」 その7 完
第1話 「御神家」 その8 へとつづく
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御神 美姫が去ったあとも、俺はまだ屋上に残り、鞍馬天狗の言っていたことをもう一度、思い返していた。
「天狗たちによる地球侵略」
「人間たちの奴隷化」
「その計画のため、すでに人間になりすまし、社会に侵入」
「その人間になりすました天狗がすでにこの町・・いや、この学校にすでに存在しているという事実」
落ち着いて改めて考えると、俺はとんでもないことに巻き込まれていると実感した。
たしかにウチの家系が神社だったのはわかるけど、ウチ自体は直接関わっていないものと思っていた。それよりもなによりも親父は寺の住職などではなく普通のサラリーマンだし、家だって普通の一軒家だし、おふくろだって普通の主婦だ。俺だって、普通の一般男子高校生だし、特別、運動神経も良いわけでもなく、もちろん特殊な能力ももちあわせていない・・・なのに・・・そんな、俺がどうして・・・。
”しょうがないだろ・・・今さら。何言ってんだ、情けないヤツじゃ、まったく。”
俺の目の前に、須佐が現れた。
「な・・・なんだと〜。」
”おぬしは余の”伝承者”・・・。おぬしはそういう運命の元に生まれた。”
「運命・・・。」
”ああ、元々”伝承者”になる奴が誰なのかは、余や鞍馬天狗様にもわからない。なんとか今回”伝承者”が誰なのか、ある程度の当たりをつけることができたのも、その”伝承者”の16歳の誕生日の近くになってやっとだ。それで鞍馬天狗様から御神本家にお告げをした。”
須佐はいつもと違った雰囲気で、さらに話を続けた。
”御神 美姫のほうは、元々、本家の当主の娘でもあったから、誕生日までの3ヶ月の間、父親が彼女に今のような話をし、そして彼女は覚悟を決めたんだろう。”
「でも・・そんな得たいの知れないヤツラと戦わせるなんて・・いくら当主の娘でも・・。」
”ひどい・・・と思うか?じゃあ、おぬしなら断れるか?”
「・・・・!」
””伝承者”に変わりは存在しない。おぬしたち以外には誰も”彼ら”を止めることはできぬ。そんな状況下で、断れるとおもうか?”
「で・・・でもお前ら強引で勝手すぎやしねーか。いくらなんでも・・。」
”わかっておるわ、そんなこと。しかし、我らの寿命はおよそ300年・・・いつ復活するかわからない”彼ら”を追うにはどうしてもこのような”伝承者”のカタチでしか追うことができなかった。”
”しかし・・・だからといってその”伝承者”のカタチをとらなければ、今、この現代で”彼ら”が復活し、結局は人間は支配されるだろう・・。もしくは、おぬしと御神 美姫・・・”伝承者”が戦わぬとしても、その結果は一緒じゃ。”
圭一はなにも言えなかった。
”余らは、おぬしらの意思を強制的に動かすことはできぬ。あくまで身体を借りているだけだからな。できるとすれば、せいぜい、このように会話するくらいじゃ。”
「なるほど、それで俺達を言いくるめるってわけか。」
”・・・おぬし以外とひねくれ者じゃな。”
「いきなり”人類を救え”って言われて”はい、わかりました”なんてそんな思えるかよ。俺だって・・・時間が欲しかったさ。」
”まぁ〜たしかに、おぬしの両親が何も話さなかったのも原因ではあるが・・それはお前のためだとおもうがな。”
「俺の・・・?」
”考えてもみろ・・今まで普通の生活をしていた息子にこのことを事前に告げて、その時が来るまで、悩ませたり、おびえさせたりさせるとおもうか・・?”
「・・・・!」
”この運命は変えられない・・・そのことをお前の両親はわかっておった。だから、このことは直前までおぬしに告げずに、その時までは、少しでも普通の生活をさせてあげようと思っていたんじゃよ。”
俺は・・・何も言えなかった。
”我々も人間たちを巻き込みたくはない・・・だが、現実はそうはいかない。であれば、我らと”伝承者”であるおぬしたちと共に”彼ら”の地球侵略を阻止する道しか人類の生き残る道はない。”
「でも・・こんな俺にできるのか?」
”「できるのか?」・・ではない。「やる」という強い意志を持つんじゃ!その意志が強ければ強いほど、お前は余の力・・鞍馬天狗様の力を最大限まで発揮することができる。強い意志を持て。愛する者たちをおまえたちとわたしたちで守るんじゃ!”
「須佐・・・。」
俺は須佐に、自分の今おかれている立場と、自分の使命を改めて再認識させられ、胸が熱くなった・・。
”なぁ・・圭一よ。”
「な・・なんだよ。」
”今の余・・かっこ良くなかったか?”
「はあ?」
”今のセリフじゃよ。いや〜我ながら心に響いたわい。おぬしも胸が熱くなったじゃろ?”
圭一は、胸が熱くなった自分を呪った。
「・・・けんな。」
”ん?なんじゃ?聞こえん。”
須佐は圭一の口元に耳を傾けた。
「ふざけんな!!誰が熱くなるか!!」
須佐は、耳元で怒鳴られて目をクルクル回している。
そんなやりとりをしていた俺たちは気づいていなかった。
後ろに”あいつ”がいたことを・・・。
「け・・・圭一?」
俺はハッ!として後ろを振り向いた・・。
そこにいたのは・・・驚いた表情で、顔を青くさせた・・・椿だった。
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